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2026/05/15 18:00
2026年4月30日にSteamで配信開始となった恋愛アドベンチャーゲーム「崩壊世界のナヴィガトーレ」は,性別が逆転した童話のキャラクターが登場する「大正×対称アリス」で知られるPrimulaが手がけた新作である。
乙女ゲームのジャンルに属する本作だが,いわゆる攻略対象キャラクターは1人のみ。そのせいか,どちらかというとビジュアルノベルをプレイしている感覚に近かった。
本稿では,崩壊した世界「ナヴィガトーレ」を舞台に描かれる本作のプレイレポートをお届けする。
とくに前情報なしでプレイを始めた筆者は,てっきりタイトルのナヴィガトーレは,架空の世界を指すものだと思っていた。 しかし,このナヴィガトーレはどうやらVRゲームのタイトルらしい。
人気のテレビ番組のジャンルに,恋愛リアリティーショーというものがある。未婚で恋人募集中の男女をシェアハウスに住まわせ,誰が誰に告白して,誰が横恋慕して……という恋模様をリアルに収めたドキュメンタリー番組だ。
本作の世界には,その恋愛リアリティーショーにサバイバルという要素を追加し,フルダイブ型のVR世界に男女3組がダイブして,その様子をリアルタイムで放映する――という番組企画があるようだ。
その番組の参加者募集に手を挙げ,応募したのが主人公の桃井ひかり(※名前変更可能)。彼女は19歳の大学生で,親元を離れ,アルバイトをしながら1人暮らしをしているごく普通の女の子だ。趣味はFPSが得意な配信者の配信を見ることで,好きな配信者がこの番組のことを話していたのが応募の動機になったそう。
そして,同じく番組企画に応募し,当選したのが24歳の夏秋冬実果(CV:伊東健人)だ。フリーのエンジニアで,引きこもり,社不(社会不適合者),コミュ障を自称している。実果の場合は自ら望んで参加したわけではなく,親が勝手に応募して当選してしまったとのこと。
ダイブしたあと,ほどなくして出会った2人。このゲームを開発した会社「セレナータ」のオフィスで目覚めた2人は,早速サバイバルを開始していく。
この番組には,いくつかルールがある。リアリティーを追求するため,番組側から参加者への指示や接触は最小限。同じ理由で,空腹や痛みも感じるように設定されている。そのため,餓死や怪我によって死亡する可能性もあるようだ。その場合は,ダイブが解除されリタイアという形になる。
ナヴィガトーレは,文明が何らかの理由で崩壊した後という世界設定のようで,いわゆる無人島に流れ着いてサバイバル――という雰囲気とはまた違う。倒壊しかけた民家や施設の中を探せば保存食などの食料や衣服が用意されており,雨風をしのげる建物もある。自家発電機能などを備えた施設では,電気も水道も通っていた。
とはいえ,やはり文明人からすれば,ストレスのかかる生活には違いない。2人のサバイバル生活を見ているだけの筆者ですら,2日,3日でリタイアを申し出たくなるだろうなという感想を抱いた。
互いに協力して生存を目指し,少しずつ心を開いていく2人。だが,本作はそんなほのぼのとしたシーンが続くだけではない。
ドラム缶風呂の火を調整しながら,なんとか入浴中のひかりを見ないようにする実果というラブコメのようなシーンから一転拠点にしていたビルが倒壊してあわや圧死しかけたり……。
外を仲良く散策していたら,どこかの家族3人分の白骨死体を見つけたり……。
シナリオ,BGMの演出,キャラクターの表情,どれをとっても緩急がすごく,思わず風邪を引きそうになった。
ストアページによると,本作のエンディングは17種類(バッドエンディングも含む)あるらしいのだが,この表記にハピエン厨の筆者は震えていた。死によってリタイアしたり,どちらかの心が壊れて進めなくなった――そんなバッドエンドがある気がする。
おそらく,このゲームをプレイして数分で,プレイヤーはみな同じ疑問を抱くだろう。「本当はゲームの世界ではなくて,現実の世界ではないのか?」と。
ひかりは,とあるカプセルで目覚めたのだが,このカプセル……見ようによってはコールドスリープ用に見えなくもない。
引きこもりである実果が体力を切らして息が上がるシーンが何度も描かれるものの,VRの世界で現実世界のような体力のなさを実感できるだろうか?
異常気象を記録しているゲームのチャット欄,まるで核シェルターのような拠点,一向に応答しない番組スタッフ,ラジオから流れる謎の音声など,あまりにもこちらの疑念を誘ってくる。
外の様子も,崩壊した建物が並ぶばかりで,人はいない。普通,こういった廃墟には野生動物が住み着いているはずだが,その気配もない。ポストアポカリプス世界にはおなじみのゾンビなどのクリーチャーもいない。
ひかりは「この世界がどうして滅びたのかを探るのも,番組側が私たちに求めていることなのかもしれない」とゲーム感覚で前向きに捉えていたが,果たして,本当にこれはゲームの中の出来事なのだろうか。
こうした世界の謎に考えを巡らせていると,恋愛アドベンチャーゲームではなく,ビジュアルノベルをプレイしている感覚になってくる。シナリオ途中で出てくる選択肢も,好感度調整というよりはストーリー分岐の色を強く感じた。つまり,乙女ゲーマーだけでなく,ビジュアルノベル好きにも刺さるのではないか,と感じた次第である。
本作の真相を追いつつ,ひかりと実果がイチャイチャできるハッピーエンドを目指して,再びプレイに戻る筆者であった。
Extracted and lightly reformatted for readability. · Source: ja
